SEMINAR report SAGA末来デザインセミナー

SEMINAR report SAGA末来デザインセミナー

―仕事も家庭も、楽しめるように―

  • 令和6年1月18日(木)SAGAライフデザインセミナーを開催しました。

    セミナーでは、結婚や子育てなどこれからの人生で迎えるライフイベントなど様々な経験をされている先輩ゲストに体験談をお話いただき、参加者自らがライフデザインについて考える機会としていただきました。

    ゲスト:岩永 清邦さん
    認定NPO法人地球市民の会 理事 兼 事務局長。
    鹿島市出身。青年海外協力隊隊員として中国に2年間滞在後に現職。主に国内事業を担当し、子どもの居場所づくり事業、ウクライナ避難民受け入れ支援事業、官民へSDGs推進のための事業に取り組む。他にも、合同会社葉隠代表社員、公益財団法人佐賀未来創造基金副理事長、一般社団法人佐賀災害支援プラットフォームの共同代表を兼任している。

    <岩永さんを表すキーワード>
    #佐賀県出身 #青年海外協力隊 #5児の父 #子育てと仕事のバランス
    #妻さんとの協力体制 #育休 #子育てに理解ある職場

  • 岩永 清邦さん

    本日の先輩ゲスト
    岩永 清邦さん

  • 東さん――近い将来をこう歩いていこうと決めている方もいるかもしれないし、これからどうなっていきたいかなとワクワクしていたり、不安もあるかなと思うのですが、ライフデザインを日常的に考える機会ってなかなかないですよね。今日は365日あるうちの1日、2時間ですが、 自分が将来どうしていきたいかを考えてみたり、同じ世代の人たちがどう考えているのかなど知ったりしながら、ライフデザインについて考えていく時間にできたらなと思います。

    東さん――5人のお子さんがいらっしゃるということで、子育てのお話について、そして佐賀で暮らしてお仕事をされているので働き方の面でもいろいろ気になることがありますよね。 今日は岩永さんの佐賀での暮らしについて、お話を聞いていきたいと思います。

    岩永さん――認定NPO法人地球市民の会というところで働いています。世界中で活動をしていまして、佐賀を本部に、拠点を置いています。ミャンマーやタイ、スリランカや中国、韓国で活動しています。最近ですと、ウクライナの方の佐賀への受入れ事業などはニュースでも知っている方が多いと思いますが、その受け入れのために県庁の方と協力して取り組む事業もありました。ほかには別会社で空き家を活用したゲストハウスの経営や、NPO法人を応援する団体の役職をしていたりもします。そのほか災害支援など、県や社会福祉協議会と連携をとって支援物資の輸送や、人の派遣なども行っています。今年1月に起こった能登半島の地震でも、この団体で支援活動をしています。プライベートでは、2014年に結婚、10年目になりました。5人の子どもたちを育てています。

  • 岩永さん――生まれは佐賀で、県外へ出て、海外へ出て、そしてまた佐賀に戻ってきたUターン組です。そのきっかけになったのは、「青年海外協力隊」の活動です。50年ほど歴史のある団体なのですが、国が実施する日本の若者を海外へ派遣する事業で、私は中国に行くことになりました。
    小学校から大学まで野球をしてきたので、その経験を活かして国際協力というかたちで中国の方に野球を教えに行きました。そこで関わった方から、地元の良さや家族を大切にする気持ちを教わったことがきっかけで、地元の佐賀に戻ることを決めました。
    佐賀に戻り、この地球市民の会で活動をすることになり、学校をつくったり、学校に行くことができない子どもたちへの支援を行ったり、様々な活動を行っています。

  • 岩永さん――暮らしのお話だと、5人の子どもがいて、1番下の子は、去年の9月に生まれたばかりです。

    結婚や子育てをしている家族の生活についてイメージができればと思い、私の生活を円グラフにしてみました。

    睡眠時間を確保しつつ、朝6時くらいに起きて子どもたちを起こして準備して、幼稚園に送っています。9時から18時までは仕事をして、夜は23時半くらいまで子どもたちのお世話をしています。夕食、片付け、お風呂、歯みがき、寝かしつけ、風呂掃除、洗濯、すべてこの時間帯で終わらせるようにしています。

  • 岩永さん――お互いに手伝ったり、協力しながら生活しています。特に19時から23時くらいまでが大変です。子どもたちが寝る時間から逆算しながらパートナーと役割をもちながら進めています。

    パートナーも仕事をしている共働きの状況の中で、どう仕事と家庭の両立をしていくか、ということですが、「自分たちだけで子育てをしないようにしよう」ということをよく話をしています。二人とも出身は佐賀なので両親や仲間も近くにいます。とにかく自分たちの子どもをまわりの人に覚えてもらって、サポートしてもらったりしています。
    もう1つは、パートナーとの密な会話を大切にすること。対話をもって解決できることがあると思うので、困っていることやお金のことについても話し合いをしています。
    ほかには、簡単なルールを決めたりもしています。「子どもの前ではけんかしない」「上の子が寂しくなったときはケアしていこうね」など、小さなことでも良いので、お互いの行動がわかるように対話を普段から行うようにしています。 ほかには、夜の仕事が多かったりもするので、身近な人を頼ったり、1人で5人の子どもたちをみる状況をつくらないように心がけています。

    管理職でもあるので、育休制度の設定や、代休や在宅勤務ができるように整えることで、多様な働き方に対応できるような制度設定もしています。私も育休をとりました。3人目と4人目の子どもたちは双子だったので、制度を整えて自ら制度を活用しました。極力現場に入らずに経営者として時間をつくれるような環境づくりを心がけています。仕事も家庭も楽しめるようにやっていけたらと思っています。

    子どもを通して毎回いろんな発見があります。新たな趣味ができたり、新たな気づきから自分自身も成長できているような気もします。

  • 家庭のお話をされる機会はありますか?

    東さん――どういう働き方をしているかという話はよく聞くことがあるかもしれませんが、家庭での過ごし方や、そのために仕事でどんな工夫をしているかまでのお話は聞く機会がないですよね。岩永さんの職場ではどうですか?

    岩永さん――社員が11名で結婚をしているのは管理職が多いです。そのメンバーでは情報共有はしています。若手社員がどう考えているのかも聞いてみたい気もしますね。

    東さん――今日のセミナーでは、10代から20代の方にご参加いただいています。逆に、ご自身が20歳のころはどうだったのでしょうか?

    岩永さん――20年前は、20歳なので大学生ですね。佐賀に戻ってきたのは、26歳。

    東さん――大学卒業後は就職されたのですか?

    岩永さん――卒業後すぐに青年海外協力隊で海外に行きましたね。

  • 海外へ行くことを決めた理由はなんだったのでしょうか?

    東さん――そこの選択も1つのライフデザインですよね。海外へ行ってみようという計画はいつごろからされていたんでしょう?向かった先の中国は自分で選択されたんですか?その経緯も聞いてみたいです。

    岩永さん――大学時代までずっと硬式野球をやっていて、なかなか野球以外の選択肢がほとんどなくて、卒業間際の引退を向かえたタイミングで友人から「卒業旅行で海外に行くんだ」という話を聞いたときに「海外に行ってみる」ということが1つ選択肢にあがりました。友人に船での海外旅行に誘われたことがきっかけで国際交流の楽しさを知りました。そこで、国際交流で自分がなにかできることがないか探していた時に、今までやってきた野球が青年海外協力隊で役立つことを知りました。

    東さん――はじめは思い描いていなくて、1つの体験がきっかけになったんですね。

    岩永さん――そうですね。あとは、野球をやめずに続けていたことも、その選択に繋がっていたなと思います。

    中国を選んだ理由ですが、2008年、北京オリンピック開催の時で、建設ラッシュでどんどん大きなビルが建ち、街の変化が激しい時代でした。その話を聞いたときに、「激動の社会」に一度行ってみたいなと思ったんです。そのタイミングで、野球を選択肢として中国が受入れ募集をしていたので、そこで中国語の勉強をして、なにか活かせる仕事ができればということで申し込みました。

    東さん――中国の環境や自分の住む場所がどう変わっていくのかということもポイントで選択されたんですね。仕事の選び方も人それぞれですね。それが自分の1つのライフデザインの考えた方にもつながっていますね。

    結婚を決めたタイミングはいつだったのでしょうか?

    東さん――中国から帰って就職をして、それからご結婚されるまではどのくらいですか?

    岩永さん――31歳のときに結婚をしました。佐賀に帰ってきてから5年ほどありますね。パートナーとは知人の紹介で出会ったのですが、4年ほどお付き合いをして結婚をしました。周りが結婚をし始める年代でもあり、なんとなく意識した時に2人での結婚生活がいい方向にイメージできてきたのが30歳のタイミングでした。

    東さん――いつまでにみたいな話があったり、お互いに考えていたライフデザインがあったり、話し合ったりしていたのでしょうか?

    岩永さん――お付き合いをしていた4年間のうちは、あまり話し合いはしていなかったかもしれません。結婚の話は勇気を振り絞って進めていきましたね。そこから話が始まっていった気がします。

    東さん――なにがあったら結婚を決めることができるのか、価値判断の基準もそれぞれですよね。長い期間一緒にいることでわかってくることもあれば、5年後に結婚するには…ということを基準とすると、出会いのタイミングも変わってきますよね。自分の年齢とあわせながら、どこで、どのタイミングで結婚したいかなど決めていってみてもいいかもしれませんね。

  • 「佐賀」に暮らしの拠点を置いた理由も聞いてみたいです。

    岩永さん――海外から、あえて佐賀に戻るという1つの覚悟があったと思います。佐賀で人との繋がりが強い場所なので、すごく子育てがしやすいなと思います。他県と比べて子どもが多い状況もすごく納得できますよね。全く知らない新しい地で始めるのも選択肢としてあるかもしれませんが、繋がりがある場所での子育ては子どもたちに良い環境を与えることができるかなと思います。

    「佐賀」での子育てはいかがですか?

    東さん――佐賀県での子育てには、ポジティブに捉えられているんですね。実際に佐賀での子育てはいかがですか?

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    岩永さん――子どもたちとイベントなどに参加したときには、身近な大人たちが一緒に遊んでくれています。その様子をみていると、佐賀での子育てを選択してよかったなと思います。

    東さん――子どもたちと一緒にでかけられる場所や機会も多いんですね。

    岩永さん――一緒に遊べる公園も多いですよね。

    東さん――お休みの日にでかける場所があったり、あとは周りに頼れる人たちがいることは、子育てをしていく中では大切かもしれませんね。

    身近にご両親や家族がいる環境はどうですか?

    岩永さん――大切ですよね。共働きなので、子どもたちの体調不良のときにどうしても休めないときは困りますよね。頼れる人たちをどう作っていくかというところでは、両親や祖父母は大事な存在です。

    東さん――緊急事態のときにも頼れる人がいることや、共働きということで家族でのワークスタイルも暮らしを考える上では必要ですね。

    岩永さん――パートナーを見つけて結婚する、子育てをするとなったとき2人で話し合って決めてこられたんですね。仕事をする・しないということも選択肢の1つですし、それが2人で話していく中で変わることもあるかもしれません。ライフデザインのポイントになるんだなと思いました。

  • 働きながらの子育てについてはどう考えますか?

    東さん――結婚して、子育てしながら働くことや、休みが必要なときの制度について、ご自身の会社にある制度や使い方をぜひ調べてみていただきたいです。どのタイミングで使えるのかはとても大切ですよね。必要だったら使いたいと話をしてみることも大事だなと思います。管理職の方が考えていくきっかけにも繋がりそうですね。

    岩永さん――経営者側としては、社員さんからどんどん提案をしてもらうことはありがたいですよね。国や県も力を入れている分野だと思いますし、会社として設定している制度があれば、そこで働く方には積極的に活用してもらえたらと思います。

    東さん――どのタイミングで使うか、なども大切なポイントかなと思います。

    描かれていたライフデザインについても聞いてみたいです。

    東さん――制度も活用しながら、3人目、4人目の子たちを育てられた上での5人目。計画でいくと、ライフデザインではどこまで描かれていたのかなというところも聞いてみたいです。

    岩永さん――実は妻が4姉妹で、父親のお姉さん家族とも一緒に住んでいて、小さな時から大家族でにぎやかな家庭だったそうで、子どもは多く欲しいという気持ちはありました。

    東さん――希望があっての5人のお子さんだったんですね。子どもが増えることについて考えたことや、取り組んでいてよかったことなどはありますか?

    岩永さん――暮らす場所、家は大切ですよね。一戸建てにする計画だったり、色んな人に頼れるような関係構築を考えたりもしましたね。

    東さん――ライフデザインを計画していくということと、それに向かってなにを決めていくのか、どう動いていくのかは工夫をしていくことは意識されているんでしょうか?

    岩永さん――お金のこともそうですよね。将来こうなっていきたいから、そのためにはこのくらい必要かなとか、話し合いをしています。

    東さん――岩永さんのお話を聞いていると、常にイメージして、そのために何が必要か、考えてこられたんだなと思います。

  • ライフデザインを考えていく上で大切なことはありますか?

    岩永さん――20代のときは結婚観も無く、仕事のことを優先させていたような気がします。自分が思っていなかったタイミングでライフイベントがやってくることもあると思うのですが、色んな人の話を聞いて、イメージをもっておくことは大切だなと思います。ドタバタと進んでいくこともあるので、動き方やお金のことなど、20代のうちから情報を集めてみるとよいかなと思います。

    東さん――岩永さんのお話を聞いていると、常にイメージして、そのために何が必要か、考えてこられたんだなと思います。

  • 岩永さん――人生の中の軸として、縁や繋がりはすごく大切だと思っています。子育てについては相談してみたり、お手伝いしていただいたり、色んな方から助けていただいていると思っています。繋がっていることによって、自分だけでなく家族にとっても色んな経験をいただいていると思います。子どもたち5人が社会でしっかりと生きていけるようにというのが目標でもあるので、つながりの中で成長できたらいいなと思います。

    東さん――改めて、次のステージのライフデザインがありますよね。関係によって軸も変わっていくと思いますが、今考えていることも大切にしていけたらいいですよね。

    岩永さん――それぞれやりたいことや、身近なことでも達成したいことがあったりするかもしれません。20代では、それに対して思いっきりエネルギーを注力していい時期だと思います。今後、結婚や子育てをしていくタイミングでは、そちらに力を注げるようにも、今、そのやりたいことに向かってとことんやり尽くすことも大切だと、今この年齢になって改めて感じます。

SEMINAR report SAGA末来デザインセミナー

SEMINAR report SAGA末来デザインセミナー

  • 先輩ゲストのみなさんにはライフデザインセミナーで佐賀での働き方や子育てについて、たっぷりお話し頂きましたが、もう少しだけインタビューさせていただきました。

    先輩ゲスト:岩永 清邦さん

  • 岩永 清邦さん
  • 質問1.

    ご両親や周りの方のサポートもいただきながら「自分たちだけで子育てしない」ように意識されているとの事でしたが、周りのサポート以外に実際に活用されて良かった・便利だった国や地域の制度や支援はありますか?

    岩永さん――厚生労働省が行っている両立支援等助成金により職場としても従業員に積極的な育児参加を促すことができるようになりました。

    ――岩永さんは管理職でもいらっしゃるので、実際に育休制度や代休、在宅勤務などの制度を整えられ、ご自身でも活用されたんですよね。職員の皆さんが仕事と家庭を両立しやすい環境づくりを積極的に実施されていて、職員のご家族の方も安心されるのではと思います。

  • 岩永 清邦さん
  • 質問2.

    セミナー内で平日の1日のスケジュールについて円グラフで役割分担を含め分かりやすく表現していただいていました。共働きという環境ではやはり役割分担が重要になってくることを感じましたが、日々の生活をより心地よく過ごすコツや工夫されていることはありますか?

    岩永さん――日々ではないですが、年に1回は結婚記念日など特別な日には夫婦で食事をするようにしています。休日などは数時間でもどちらかが休めるように(ストレス軽減)公園や児童館などどちらかが子どもを連れ出すようにしています。その時も、両親などにも協力をいただいています。

    ――共働きのご家庭が増えている中で、周りのサポートにも頼りながらお父さん・お母さんも上手に息抜きすることが、楽しく過ごされるコツですね!ご両親が近くにいらっしゃることは佐賀で生活する大きなメリットですね!

  • 岩永 清邦さん
  • 質問3.

    子育て以外にも、結婚や出産、日頃の生活において佐賀で活用された制度や施設があれば教えてください。

    岩永さん――制度ではないですが、児童センターなど子どもが遊べる場所が多いのも、育児するにあたっては非常に助かります。

    ――佐賀は自然も豊かな場所が多く、子どもを連れてお出かけする公園も多いと聞きます。児童センターなどはうまく活用しながら、ほかのご家族とコミュニケーションも取れるので情報交換の場としても活用できますね。

  • 岩永 清邦さん
  • 質問4.

    これからのライフデザインを考える皆さんに一言お願いします!

    岩永さん――よくよく言われている佐賀は子育てしやすいというのは、周りの繋がりが強いというのも一つかと思います。「お金がないから子育てができない」という意見もあるかと思いますが、知恵を出して生活し、労力なども繋がりの中で軽減することもできますので、お金≠子育てという認識をもってもらいたいです。子どもと接することで、人生が豊かになることは間違いなく、子どもたちを通して新しい出会いや気づきなど知らなかった「世界」に出会うことができます。自身の成長などこれからのライフデザインをつくる上で、「自分の豊かさ」とは何かを考えて人生設計をしていただきたいです。

  • 岩永 清邦さん
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