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令和5年12月18日(月)SAGAライフデザインセミナーを開催しました。
セミナーでは、仕事や結婚など様々な経験をされている先輩ゲストに体験談をお話いただき、参加者自らがライフデザインについて考える機会としていただきました。
ゲスト:石橋 真太さん
長崎県出身佐賀市在住。有田町のNPO法人灯す屋にて、灯すラボ実験室の管理人として活動を行いつつ、主に「灯すラボアフタースクール」を運営。佐賀大学在学中からまちづくり活動の中で出逢いに恵まれたことが、佐賀に住みたいと思ったきっかけ。個人的な活動として、佐賀市内で友人と朝活を運営中。<石橋さんを表すキーワード>
#佐賀大学卒業 #県外出身者 #家族の時間
#行きつけをつくる #仕事とプライベートの間 #暮らしをつくる #妻と娘と3人暮らし -
本日の先輩ゲスト
石橋 真太さん

―大学時代のある問いかけが大きなきっかけに―
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東さん――今どうやって過ごしているのか、どうしてその決断に至ったのか、その準備はどうだったのかなど、些細なことでも良いので、気になったことはぜひ聞いてみてください。
どんなライフデザインを歩んできたのか、そしてこれからをどう考えているのかも聞きつつ、皆さんのこれからを考えるヒントにしてもらえたらなと思います。東さん――石橋さんには、2年前のセミナーでも大学生の方に向けてお話をいただきましたね。
今回はお仕事のことだけでなく、プライベートについてもお話をお聞きしていこうと思いますが、まずはお仕事のことからお話を聞いてみたいと思います。石橋さん――NPO法人灯す屋に勤務しています。佐賀県有田町を拠点に「一人ひとりが面白い未来を描ける社会に」をビジョンに掲げ、皆さんの「やりたいこと」「実現したいこと」について、そっと背中を押せるような存在を目指して活動しています。
「灯すラボ」「うちやま百貨店」「ふるさと納税」「おもしろい未来づくり相談窓口」など様々なプロジェクトに取り組んでいます。
有田「灯すラボ」実験室の管理人をしています。最近では、その実験室を使って子ども向けのデザインやプログラミングなどの教室なども運営しています。なぜ今のお仕事を選ばれたのでしょうか?
石橋さん――元々は公務員志望で、地元の商店街を見て「もっと盛り上げられたらな」という気持ちがあり、地域のことを学べる佐賀大学の経済学部に進学しました。
佐賀県庁や長崎県庁に勤めてみたいなと思い、そこで働く人の話を聞きに行ってみたところ、「もっと街づくりに関わるために自分ができることはなんだろう」と模索していった結果、休学してシェアハウスで暮らすことを決断。イベントの運営なども自分で仕掛けてみたり、色々なことに挑戦してみました。
佐賀県でのイベント運営からのご縁で、1社目との出会いがあり、不動産や公共空間の管理活用といったお仕事を担当していました。そして、転職を経験し、2社目、スポーツ関連企業に勤め、2回目の転職、3社目の「灯す屋」と出会いました。
1社目、2社目の間で結婚。2022年6月、第一子の娘が生まれました。 -
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人生の選択をしていく中で、きっかけになったことはありますか?
石橋さん――大学時代に住んでいたシェアハウスでは、海外を行ったり来たりする方や、日本中を駆け巡る方など様々なメンバーが集まっていました。シェアハウスに来た初日に、そのメンバーから「君は何がしたいの?」「どういう風に生きていきたいの?」と聞かれたのですが、僕はその問いに答えることができませんでした。何も答えることができずに1分間、頭が真っ白になりました。今思えば、人生の中で1番長い1分だったかもしれません。
その問いかけをもらったからこそ、自分の中でどんなことを考えるべきなのか、これからの大学生活や人生をどう過ごしていくべきなのか、考えるきっかけになりました。なにを大事にして生きていきたいか、家族とどうかかわっていくか、どんな暮らしをしていくのかなど、自分の中で問いかけをしていきました。
こうやって問いかけをしていったことで、自分の中で大切にしたいことが3つ見つかりました。
①今すぐ答えを出さなくても、感じたことや考えたことを元に選択していく。
②一人で考えすぎず、パートナーや友人、上司にも相談していく。
③自分の価値観を意識する。
この3つを大切にして、自分の人生を意識して生きてきました。 -
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NPO法人で働く、ということについてもお聞きしてみたいです。
石橋さん――現在は「灯す屋」で職員として働いています。
東さん――色んな事業をされているということでしたが、どんなお仕事がメインですか?
石橋さん――基本的には「人とおしゃべりすること」が仕事だと思っています。相談窓口のお仕事が多く「こんなことをやってみたいんだけど…」というような相談をお聞きしています。
有田だけではなく、佐賀県内はもちろん、県外からもご相談があります。先日も「灯す屋」が有田町で行っている「うちやま百貨店」には東京からの出展もありました。有田で起業をしたい方からのご相談もありました。東さん――いろんな地域の方とお話することがあるんですね。
お仕事によっては、移動が多かったりもするのでしょうか?石橋さん――有田町でのお仕事が多いですね。いろんな県内企業の方とのお付き合いもありますが、今担当している「灯すラボ」のお仕事は有田町で完結していますね。
東さん――有田町でのお仕事ということですが、お住まいは?
石橋さん――今は佐賀市内です。
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佐賀市内に住もうと思ったきっかけや、理由はなんでしょうか?
東さん――今のお話をお聞きすると、せっかくならお仕事と近い場所に住みたいなと思ったりしそうですが…。
石橋さん――大学時代から佐賀市内に暮らしているのでそのまま暮らし続けている、というのもあるのですが、佐賀でやれること、佐賀でやりたいことがあるからというのが大きな理由です。
東さん――仕事以外のことでも理由があるのでしょうか?
石橋さん――そうですね。有田で仕事をしていますが、佐賀市内でも繋がりが多かったり、友人と朝活イベントを主催してみたり、佐賀市内の今住んでいるところが良いかなと思っています。
東さん――県内にお住まいの方が多いと思いますが、いろんな市町村がある中で「こんな街に住んでみたいな」「こんな場所で暮らしてみたいな」など考えや基準がありますよね。やっぱり仕事との距離というのは一番大きいかもしれませんが、家族の予定や子育ての環境など、いろんな選択肢があるんだなと思います。
東さん――石橋さんは、お勤めは有田で佐賀市にお住まいで、その通勤時間を越えてでもやりたいことがあったんですね。
石橋さん――あとは、妻が佐賀市内に勤めているので、そちらの通勤時間を優先したという、すこし現実的な理由もあったりします。
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佐賀での暮らしを決めた理由はなんでしょうか?
東さん――パートナーがいらっしゃれば、そこが皆さんの選択肢としても出てきますね。
ご出身は長崎ということでしたが、どのタイミングで佐賀での暮らしを決断されたのでしょうか?石橋さん――考えが切り替わったのは、休学した大学3年生のときですね。それまで佐賀の方との関わりは全然なかったのですが、佐賀県庁の方からまちづくりの活動をされている方を紹介していただいたことで人と話すようになって、佐賀の人たちって面白いな、好きだなと思ったことで、佐賀に暮らすことを決めました。
東さん――県庁の方とお話をされた中で、県庁ではなくほかのまちづくりの仕事を選択されたと思うのですが、大事にしていたポイントなどはあったのでしょうか?
石橋さん――自分のやりたいことを実現できるか、ということが1番大切でした。自分の活動もしたかったんですよね。自分の意志をよりカタチにできるのはどこか、考えた結果です。
東さん――自分で「選びたい」気持ちを大切にされたんですね。
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転職の経験についてのお話も聞いてみたいです。
東さん――今お勤めの3社目に入られたのが、26歳くらいですね。
転職についての考えや、転職に踏み切ったきっかけも聞いてみたいです。石橋さん――1社目を選んだのは、大学生からの延長線上で、自分が知っている世界の中ではここが一番良い、と思い決めました。入社して人と関りが増えていく中で、今の場所では自分のやりたいことやプロジェクト、自分のスキルが身につかないんじゃないかと考えたりもしました。今思えば、そこでもっとできることがあったんじゃないか、自分次第で環境自体が変わったこともあるんじゃないかとも思います。
東さん――その時は、仕事内容や自分のスキルを重視して転職を考えられたんですね。
石橋さん――2社目は、もっと広く街のことを見ることができるお仕事がやってみたいなと思い選びました。これも1社目のつながりから紹介していただいてご縁がありました。
東さん――2社目は何年ほどお勤めされたんでしょうか?
石橋さん――2社目は1年で、この間に結婚しました。
結婚についてはどのように考えていたのでしょうか?
東さん――2社目に勤めているときにご結婚をされて、お仕事を辞めたんですね。
ライフデザインの中ではどう考えていたのか、この間のお話も聞いてみたいです。石橋さん――実際、お仕事をしていない期間もありました。それはライフデザインには、全く考えていなかったです。結婚をしてからお仕事を辞めることになりました。
東さん――そのことについてパートナーとはどんなお話をされましたか?
石橋さん――自分の思っていることや今の状況も踏まえた上で次のステップに移ってみてもいいですか?と相談しました。その時に、「明らかに笑顔が少なくなっていっているから、お仕事はやめてみてもいいんじゃない?」と話してくれました。
東さん――そこから3社目に移られたんですね。2社目と3社目、お仕事をお休みする期間を経験してみて、感じたことはありますか?
石橋さん――1社目、2社目を経験しての現職は、明らかに自分の中でやれることの幅が広がりました。自分がやりたかったことにも繋がったと思います。
東さん――ありがとうございます。これまでお話を聞いてきた中で、色んな決断や自己決定、様々な関りの中で決めてきたことも多かったのかなと思いました。選択肢も持ちながら決断をされてきたんだなと思います。
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結婚後も佐賀に残る選択をされたのはなぜでしょうか?
東さん――今は佐賀にお住まいですが、結婚後も佐賀で暮らす理由も聞いてみたいです。 ご結婚されてからの退社ということで、3社目は佐賀ではない場所でもよかったという考えもあったりしたのでしょうか?
石橋さん――そうですね、最終的に暮らす地はどこでもよかったかもしれません。ですが、結婚後の暮らしは、子育て環境、地元が長崎なのでそこまで遠くない場所がいいなとも思っていました。今の繋がりの中で頼れる存在、友達や仲間もいるので、そこが我々の中では、佐賀に残る理由になっているかなと思います。
東さん――奥さまが保育士のお仕事をされていることもあって資格をお持ちなので、ほかのエリアでも働くことができる職種ですよね。そこから長崎やほかの県に行く選択肢もあったのかなとも思いました。これまでの出会いから佐賀での暮らしを選ばれたんですね。
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実際に佐賀での暮らしはどうですか?
石橋さん――今は自然が豊かな場所に住んでいます。子育てはしやすいです。子どもを遊ばせやすい公園もすぐ近くにあり、のびのびと子育てができているかなと思います。ほかに頼れる存在がいるというのも大きいです。なにかあれば、友人に相談したり、それだけでなく、友人と一緒に子どもと遊んだりもできるので助かっています。
東さん――ライフデザインについてお話をお聞きしてきました。考えなくても過ごしていけることかもしれませんが、考えてみると意外な自分の答えがあったり、パートナーがいる方はお互いをどんな風におもっているか、考えるきっかけにもなりますよね。これからのことやお互いのことは、どんなことを話していますか?
石橋さん――将来のことだと、今後どこに住んでいきたいかなどの話はしますね。自分が悩んだ時に一番はじめに相談するのはパートナーです。
東さん――選択をする際の基準にもなっているのかもしれませんね。自分の価値観を意識することで、話をする中で考えの変化もあったりしますよね。
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東さん――普段会社で自分の人生を考えたり、話したりする機会って意外とないですよね。身近なところで話せる人を見つけることも、ライフデザインを考える上では大切なんだなと思いました。
石橋さん――皆さんのお話を聞いたり、話をしていくなかで、自分自身も改めてライフデザインを考えるきっかけにもなりました。皆さんそれぞれの人生があると思いますが、「自分はこれがいい」と思えるような選択肢を選んでいけるその一助になれたら嬉しいです。
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先輩ゲストのみなさんにはライフデザインセミナーで佐賀での働き方や子育てについて、たっぷりお話し頂きましたが、もう少しだけインタビューさせていただきました。
先輩ゲスト:石橋 真太さん
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質問1.
朝活イベントをされているとの事でしたが、職場や家庭以外にもコミュニティを作る良さはどんなところにありますか?
石橋さん――暮らしの中で目にする情報が溢れ興味関心が多様化する中、職場や家庭以外での表現の場も求められていると感じています。交流することで新たな価値観と出会えたり、触発されて新たな考えが生まれたり、物差しが一つではないことに気づけることが良さではないでしょうか。
――確かに、ここ数年で企業・個人問わずSNS等を活用した情報発信、表現の場も活発になりましたよね。SNSを通じた世界でも、リアルな世界でも、新しい気づきや刺激がある時間を持つことで人生の選択肢が増えたり、考え方の幅が広がるきっかけとなることはとても魅力的ですね!
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質問2.
今では珍しくない“共働き”というカタチ。思いやりが欠かせないかと思いますが、日頃の生活で意識されている事、気にかけている事などはありますか?また、結婚や子育てをしていてよかったこと思うときはどんな時ですか?
石橋さん――お互いの職場の状況を共有したり、日々どんなことが起きたかをできるだけ話すように意識しています。すれ違いにならないようお互いの状況を把握することも大事だと思います。
――夫婦間でも“ほうれんそう(報告・連絡・相談)”が大切ということですよね。
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石橋さん――子育てや結婚して良かったと思うことについて、特に、子どもが産まれてからは短期的な物事ではなく、長期的な視点で社会を見るようになりました。目の前のことで不安になる時こそ、家族を思い浮かべて少し先の未来のために頑張ろうと思えます。
――自分ではない大切な存在ができることで、強くなれたり、勇気が出たり…家族を持つという選択肢は大変なことももちろんあるかと思いますが、人生をより豊かにしてくれるのだろうと石橋さんのお話を聞いて改めて思いました。
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質問3.
現在佐賀市内で子育てをされていますが、利用されて良かった施設や活用されている支援制度はありますか?
石橋さん――天候に左右されずに遊ぶことができて遊具も多い中央児童センターをよく利用しています。
――県内に住む子育てママ・パパからも、佐賀県はこどもを遊ばせる施設が多いとよく伺います。自然や公園も多いので、のびのびと子育てをしたい方には嬉しい環境が揃っているかもしれませんね!
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質問4.
これから佐賀でのライフデザインを考える皆さんに一言お願いします!
石橋さん――これからの人生というと長すぎて気が遠くなりそうですが、自分の価値観を大切にして、その時々の選択と決断を楽しんでいきましょう。
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